離婚の条件をめぐって夫婦間で話し合いがまとまらないときや、相手方配偶者が離婚に応じようとしないときは、家庭裁判所に調停を申し立てる方法があります。
離婚訴訟を起こすには法定離婚原因が必要ですが、調停の申立てにはそのような制約はありません。有責配偶者からの申立ても可能です。以前の記事で述べたように、離婚訴訟をいきなり起こすことはできず、まず調停を申し立てる「調停前置主義」がとられています。
調停の申立ては、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。自分は東京に住んでいるが、相手方は千葉にいるという場合、千葉家裁に申し立てることになります。
調停は、裁判官1人と調停委員2人以上で構成される調停委員会が間に入る形で進められます。東京家裁の説明資料によると、当事者には「交互又は同時に調停室に入っていただき」「調停委員が中立の立場で、双方のお話をお聞きしながら話合いを進めていきます」とされています。そして、「原則として、各調停期日の開始時と終了時に、双方当事者ご本人に同時に調停室に入っていただき、調停の手続、進行予定や次回までの課題等に関する説明を行います」とされています。
家事事件手続法が施行される前の運用では、調停においては、相手方と顔を合わせることは原則としてなかったのですが、現在の運用では、少なくとも調停期日の冒頭と終了時には相手方と顔を合わせることになります。ただし、調停までの待ち時間を過ごす待合室は分けられています。
調停は月1回のペースで進められ、通常3カ月~半年かかります。調停が行われるのは平日の昼間です。
何回かの調停を経て話し合いがまとまると、調停調書が作成されます。調停調書は確定判決と同じ効力を持ちます。調停調書に記載された養育費の支払いを相手方が履行しない場合は、強制執行をかけることも可能です。
再三の呼び出しに相手方が応じない場合や、調停を重ねても着地点が見出せない場合は調停不成立となります。離婚を希望しているが、調停が不成立となったときは、離婚訴訟を提起することになります。なお、調停の取り下げはいつでもできます。相手方の同意も不要です。
調停申立てにかかる費用は、1,200円分の収入印紙と1,000円分の郵便切手です(東京家裁の場合)。申立ての手続きは難しいものではなく、弁護士等に依頼せずとも、ご本人で対応可能です。申立書面の作成だけを専門職に頼みたいという場合は、司法書士に依頼することになります。
■東京家庭裁判所 手続案内
URL http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/index.html