審判離婚とは、調停が成立しない場合において、家庭裁判所が職権で離婚の審判をすることです。旧家事審判法では、以下のように規定されていました。

旧家事審判法24条(調停に代わる審判)

①家庭裁判所は、調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、当事者双方のため衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、離縁その他必要な審判をすることができる。この審判においては、金銭の支払その他財産上の給付を命ずることができる。

②前項の規定は、第9条第1項乙類に規定する審判事件の調停については、これを適用しない。

この審判は、ごく限られたケースでしか行われてきませんでした。「当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度」という縛りがある上、乙類審判事件については適用できないという制約があったからだと思われます。

実務上は、それまでの調停で離婚については実質的に合意に達していたが、期日に相手方が出頭できなくなった、あるいは出頭しなかったような場合などに審判が行われていました。

ところで、家事審判法に代わる手続法として新たに制定された家事事件手続法(平成25年1月1日施行)では、以下のようになっています。

(調停に代わる審判の対象及び要件)
第284条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし、第277条第1項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。

2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。

3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。

「当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度」という縛りがなくなっています。さらに、第3項で「子の引渡し」についても命ずることができるようになっています。

家事事件手続法の施行により、審判離婚をめぐる運用もこれから変わってくるかもしれません。

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