子供のいる夫婦が離婚するとき、避けて通ることができないのが養育費の問題です。

養育費は、子供を引き取らない親(父親であることが多いでしょう)が「子の監護に要する費用の分担」(民法766条)として支払うものです。

直系血族間には扶養義務があります(同877条1項)。子供が自立するまで面倒を見るのは親の義務であって、離婚しようがしまいが変わるものではありません。

母親が親権者となって子供を引き取る場合において、母親が経済的に厳しい状況にあるときはもちろんのこと、実家の援助が得られる、フルタイムの正社員として働いているなどの理由で経済的には問題がなかったとしても、扶養義務を果たす観点から、父親は養育費を支払うべきでしょう。

養育費の額の決め方については、東京と大阪の家裁裁判官の共同研究によって作成された「養育費算定表」が実務上定着しています。この表から算出される額がベースとなることはやむを得ないところでしょう。

しかし、この算定表に対しては、養育費の額が不当に低く算定され、最低生活水準にすら満たない事案を多数生み出し、母子家庭の貧困化をもたらしているという批判があります。

離婚協議に当たっては、子供の福祉を最優先に、必要にして十分な額と期間の養育費を考えるべきでしょう。同時に、あまりに過大な要求は養育費の不払いにつながりかねませんから、子供を引き取る親はそのことにも留意すべきです。

養育費はいつまで支払うべきでしょうか。昨今の進学率(大学・短大で約6割、専門学校を含めると約8割)を考えれば、子供が大学等を卒業するまでとするのが妥当でしょう。

いずれにせよ、養育費の支払いは長期間にわたります。延滞や不払いのリスクは小さくありません。そして、実際に養育費の不払いをめぐるトラブルは多発しています。不払いリスクの低減及び不払いになったときの保障として、離婚協議書を強制執行認諾約款付の公正証書にしておくことは必須と言えるでしょう。

番号をタップすると電話がつながります
(スマホご利用のとき)

※初回相談は無料です
(面談30分・メール1往復まで)

mailsoudan