民法が定める離婚の種類は二つで、協議上の離婚(協議離婚、763条)と裁判上の離婚(裁判離婚、770条)です。

協議離婚は、夫婦が協議し、離婚届を提出すれば成立します。離婚原因は問われません。仮装離婚が有効とされた判例もあります。

これに対し、裁判離婚は、770条1項1~5号に定める事由(法定離婚原因)に該当する場合に限り、離婚の訴えを提起することができるとされています。法定離婚原因をめぐる論点については、稿を改めて述べる予定です。

離婚の訴えは、「人事に関する訴え」(人事訴訟法2条)であり、家庭裁判所の管轄に専属します(同4条)。そして、家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件について調停を行うとされており(家事事件手続法244条)、この規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならないと定められています(同257条)。

つまり、離婚を考えている人が離婚訴訟をいきなり提起することはできず、まずは家事調停の申立てをしなければならないわけです。「調停なんて面倒くさい。裁判でさっさとけりをつけたい」と考えて裁判所に訴状を持っていっても、職権で家事調停に付されます。これを調停前置主義といいます。

ところで、一般的には「離婚調停」と呼ばれることが多いこの家事調停手続は、正式には「夫婦関係調整調停」というものです。離婚に向けての話し合いのために利用されることが多いのですが、夫婦関係を修復するための話し合いに利用することもできるのです。

夫婦関係がぎくしゃくしていて、二人だけではどうもうまく話し合いができない、でも何とか関係を修復してやり直したいと願っている――そんなときには、この家事調停を申し立て、公平中立な第三者に入ってもらって話し合いをするというのも一法です。

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