未成年の子は、父母の親権に服します(民法818条1項)。親権は、父母の婚姻中は父母が共同して行使しますが(同条2項)、父母が離婚するときは、どちらか一方を親権者と定めなければなりません(同819条)。親権者を定めないと、離婚届は受理されません。

調停を含む父母の協議で親権者を定められないときは、裁判または審判によって、裁判所が親権者を定めることになります(同条2項、5項)。

父母の双方が親権者になることを主張して譲らないとき、親権者と監護者を分けるという手段がとられることがあります。この場合、監護者は、子の監護及び教育について権利義務を有し、親権者はそれ以外の部分で権利義務を負うことになります。母親が子供を引き取って育てる一方、子供の財産管理は父親が行うようなケースが該当します。

子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができます(民法818条6項)。

判断基準は、あくまで「子の利益」です。「父親が親権者となったが、再婚して後妻との間に子供が生まれた途端、前妻との間の子を邪魔者扱いするようになった」ような場合は親権者の変更が認められるでしょうが、「離婚当時は失業中で、やむなく妻に親権を渡したが、今は再就職して生活も安定したので自分が親権者になりたい」という理由では認められないでしょう。

請求権者は「子の親族」なので、例えば祖父母から請求を出すこともできます。具体的手続としては、家庭裁判所に対し親権者変更の調停を申し立てることになります。親権者が行方不明になっているなどの事情で調停に出席することができない場合は、調停を経ずに審判を申し立てることができます。

平成23年版の厚生労働白書によると、親が離婚した未成年の子に関し、1950年(昭和25年)は夫が親権を行う場合がおよそ半数であったのが、2009年(平成21年)には妻が親権を行う場合が8割以上となっています。

父母の協議が調わず、調停や裁判に持ち込まれた場合でも、母親が親権者若しくは監護者と定められる割合が非常に高く、子供が幼い場合はその傾向がさらに強まるようです。

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