財産分与について、民法は次のように定めています。

第768条

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。

3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

1項の条文を素直に読めば、離婚届を出してから財産分与の請求をするという流れになりますが、現実の問題として、特に分与を受ける側にとっては、財産分与についてきちんと取り決めをしてからでないと、離婚届の提出に応じるわけにはいかないでしょう。家庭裁判所に請求できる期間は2年しかありませんから、この点にも注意する必要があります。

財産分与の目的について、判例は、(1)夫婦が婚姻中に有していた実質共同の財産の清算分配、(2)離婚後における一方当事者の生計の維持を図ることに加えて、(3)離婚による慰謝料を含めることもできるとしています。768条3項の条文とあわせて少々乱暴にまとめてしまえば、その夫婦の状況に応じてどのように決めても構わない、と言っているようにも思えます。

とはいえ、やはり共同財産の清算分配が最も重要なポイントだと言えましょう。この点で問題となってきたのが、専業主婦が離婚するときの財産分与の割合でした。

家庭裁判所の判断例では、少し前までは専業主婦が受ける財産分与の割合が3~4割に抑えられることが多かったようですが、最近では2分の1ずつとすることが主流になっているようです。夫婦間で財産分与の割合を協議する場合でも、2分の1をスタートラインとすることが妥当でしょう。あとはこれに扶養的要素、慰謝料的要素をどの程度加味するかという話だと思います。

また、よく問題になるのが、婚姻期間中に取得した不動産(住まい)の扱いです。特に住宅ローンが残っていると、金融機関も当事者として絡んできますから、夫婦間の話し合いだけで決着させることができない場合もあります。これについては稿を改めて考えてみたいと思います。

なお、言うまでもないことですが、財産分与と養育費の負担はあくまで別物です。「財産分与を十分にしたのだから、養育費の支払いはしなくてもいいだろう」という言い分は通りません。

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